ホワイトペーパー

画像による非接触のトレーサビリティ構築

1. はじめに

企業における製造・流通のグローバル化に伴い、商品の適切な管理・品質保証がますます重要となっています。NECでは、「物体指紋認証技術」1)を活用して、商品管理のためのバーコード、RFIDなどの識別用タグの取り付けや、特殊加工を施すなどの手段を用いることのない、物品そのものによる管理の実現を進めています。本稿では、その取り組みの成果として、製造現場で個体レベルのトレーサビリティを実現する「個体識別情報管理ソリューション」、及び二次流通市場に適用した事例を紹介します。

2. 物体指紋認証技術による個体識別機能について

物体指紋認証技術は、製品・部品の製造過程で自然発生的に生じる個体固有の表面紋様(物体指紋)を撮影し、それら画像を登録・照合することで、個体の識別を実現する技術です。物体指紋は、高精度に切削加工される機械部品や、同一の金型から製造した部品でも、個々に異なる唯一な特徴を持っています(図1)。そのため、微小な部品など、識別のためのタグ付けや表面へのマーキングができない部品であっても、適切な照明条件で拡大した物体指紋の画像をカメラで撮影するだけで、個体を識別することが可能になります(NECの検証環境において、同一金型から製造したボルト1,000本に対し、1,000×1,000の100万回照合を実施した結果、照合ミスが0であることを確認しています)。