ホワイトペーパー

「マルウェア感染でライン停止」のリスクにどう備えるか

産業制御システム特有の要件を踏まえた
次世代セキュリティ製品

マルウェアの脅威と無縁ではない産業制御システム

 長らく「外部とつながっていないから安心」と捉えられてきた産業制御システムですが、いまやマルウェアと無縁ではありません。例えば2017年、国内でも猛威を振るったランサムウェア「WannaCry」は、Windows OSの脆弱性を突いてワーム的に感染を広げました。この結果、サーバーなどITシステムの多くが被害を受けただけでなく、自動車工場の生産設備が1日停止に追い込まれるといった影響もありました。 サイバー世界の存在であるマルウェアが物理的な生産ラインに影響を及ぼすことを知らしめる契機となったのは、2010年に登場した「Stuxnet」でした。USBメモリ経由で持ち込まれたマルウェアが、核燃料の生産に必要な遠心分離機の稼働周波数を変えることで故障を引き起こしたのです。この一件は、クローズドな環境にあるから安全と思われていた工場・生産の現場でも、セキュリティ対策が必要だということを世界的に認識させるきっかけとなりました。 その後も、ネットワークを介して複数の工場の生産ラインを停止させた「Zotob」、マルウェア感染端末をウイルスチェックせずに工場内に持ち込んで接続し、半導体メーカーの生産ラインを停止させた「WannaCry亜種」のように、サイバー脅威が生産制御システムの稼働に影響を与える事例が続々と発生しています。

“生産ライン停止”“品質への影響” マルウェアが事業に与えるリスク

これは決して海の向こうの話ではありません。2017年11月に行われた日本国内の工場における被害実態調査では、回答企業の57%が産業制御システムでのマルウェア感染被害を経験していると答えました。しかも回答者の40%が「過去1年以内に感染経験あり」とし、そのうちの47%(回答者全体の18.8%)が「産業制御システムの稼働停止を経験している」という結果になりました。つまり、国内においても産業制御システムに対するサイバーリスクはすでに顕在化しているのです。