ホワイトペーパー

加速する製造業のIoT化、安全なクラウド活用方法とは

クラウド利用のリスク可視化と適切な脅威対策の実現
「McAfee MVISION Cloud」

IoTによるクラウド利活用で高まるセキュリティリスク

 IoT機器がオフィスやさまざまな生産現場に普及し、インターネットやクラウドとつながり、きめ細かなデータ収集とそれに基づく効率性向上や生産性向上に活用され始めています。しかし、そこにも“影”の側面があります。クラウド利活用において、もっとも懸念されるのは情報漏えいや不正アクセスといった脅威です。これまでIT部門で報告されてきたクラウドサービスのインシデントが製造業でも発生することが懸念されているのです。
 ITシステムでは過去にたびたび、クラウドサービスに関連するセキュリティ事故が発生してきました。2019年7月には米国の大手金融企業が不正アクセスを受け、クラウド環境の設定ミスも相まって1億人を超えるユーザーの個人情報が漏えいしました。国内ではここまで大規模な被害は報告されていませんが、共有ストレージサービスの設定ミスなどにより、不特定多数の人が機密情報を閲覧できる状態になっていた事故は後を絶ちません。IoTや生産現場がクラウドとつながることにより、こうした事故が製造業でも発生することが懸念されています。
  こうした状況を受け、日本政府はもちろん、米国や欧州でもサイバーセキュリティに関するガイドラインやフレームワークが定められ、IoTや制御システムを含む包括的なセキュリティ対策が推進されています。つまり、自社だけでなくサプライチェーン全体を見通した対策、そして企画・開発時から出荷後にユーザーが使うまでのライフサイクル全体を見据え、エンドポイントからクラウドに至るまで、包括的な視野でのセキュリティ対策が求められているのです。

製造業でも拡がるクラウドサービスの利活用

 いま「インダストリー 4.0」や「スマートファクトリー」といった変化が起きています。これまでは外部のネットワークと交わることなく稼働してきたさまざまなセンサーや制御システムが、情報システムだけでなくインターネットやクラウドサービスとつながることによって、きめ細かく稼働状況を収集したり、さらに得られた膨大なデータを分析してモノ作りのプロセスを最適化したり、顧客ニーズに応じてより高い付加価値を実現する取り組みです。
 しかし、ここに検討しなければならないポイントがあります。それは、機器から収集した膨大なデータをどのように保存し、保護するかです。
 これまで収集データの多くは、工場内のサーバーや自社のデータセンターに保存されてきました。しかし、より迅速に、時にはAIをはじめとする最新のテクノロジーを生かしてデータを処理・分析するには、柔軟に拡張できるクラウドのリソースを利用する方が有利であり、高いコストパフォーマンスも見込めます。
 こうした背景から、製造業におけるクラウドサービスの利活用は今後さらに増えていくことでしょう。しかし、そこで留意しなければいけないのがセキュリティです。
 クラウドサービスは誰でも手軽に利用でき、必要に応じてどんどん拡張できることがメリットです。これは利用者にとって便利な反面、IT利用に関する社内ルール違反を引き起こしたり、不適切な設定に起因する情報漏えいにつながったりする恐れがあります。