それなくしては、いまや社会が成立しないといっても過言ではない「半導体」。しかし、「いろいろな電子機器に使用されている」ということは知っていても、そのイメージは漠然としているという人も多いのではないでしょうか。このページでは、半導体の基礎知識と半導体業界の構造について解説します。

半導体を知る

「半導体」というと、IC(集積回路)やLSI(大規模集積回路)などをイメージすると思います。しかし、本来、半導体とは「ある特性を持った物質」を意味します。物質には、鉄やアルミ、銅などの電気をよく通す「導体」と、陶器やゴム、ガラスなどの電気を全く通さない「絶縁体」がありますが、半導体は名前の通り、その中間的な性質を持っています。代表的なものには、シリコンやゲルマニウムがあります。
電気を通す、通さないという性質には、それぞれの物質固有の「電気抵抗率」が大きく関係しています。純粋なシリコンやゲルマニウムの結晶は、電気抵抗率が高く、そのままの状態では絶縁体と同じく、いくら電圧を上げてもほとんど電気は流れません。しかし、そこに異なる物質を添加したり、熱や光を加えることで、電気抵抗率を変動させることができるのです。この大きな特性を利用して電力を制御するためにつくられたのが、一方向のみに電流を流す「ダイオード」や、スイッチングを行う「サイリスタ」などの「半導体素子」です。さらにそれらを集積して、より複雑な電力制御を可能にするのがICやLSIなどの集積回路です。現在は、この集積回路まで含めて「半導体」と呼ぶのが一般的になっています。

半導体の歴史は、1940年代後半、アメリカで「トランジスタ」が開発されたことで幕を開けました。1950年代には、日本メーカーが世界初の「トランジスタラジオ」の開発に成功。それまでの「真空管ラジオ」を凌駕する機能性と経済性から、世界的な大ヒット商品になりました。その後も半導体は各企業の激しい競争の中で高性能化、小型化が進められ、さまざまな電化製品の実用化において大きな役割を果たしました。さらに1970年代になると、小型ながら高い情報処理が可能な「マイクロプロセッサ」が登場し、コンピュータの時代が到来しました。
現在は、PCなどのコンピュータだけでなくスマートフォンやタブレットなどの新たなデバイスにも半導体が搭載されています。今、あなたが見ているそのPCやスマートフォンも半導体があるからこそ機能しているのです。近年インターネットに接続できるデバイスは先述したPC、スマートフォン、タブレット以外にも家電製品や住宅、その他さまざまなものに広がっています。例えば「照明器具」がインターネットにつながることで、「点灯していた時間」「消灯した時間」「照度」など、照明器具の状態や稼働状況などのデータの発信や記録が可能になり、それをもとに、遠隔地に住む家族の安否確認を行うサービスなどが実現しています。また、「コンピュータによる制御」が当たり前になった自動車業界でも、危険を検知して自動でブレーキをかける「衝突防止システム」などの実用化に伴い、半導体は欠かせない存在になっています。「自動運転技術」の研究開発も積極的に進められていることから、数年後に、ハンドルもアクセルもない無人自動車が街を行き交うようになるという予想もあり、自動車の新たな進化は半導体と密接に関わっています。

その他にも、洗濯機やエアコン、冷蔵庫など家電製品から鉄道や信号、産業ロボットなどの産業・社会インフラまで、ありとあらゆるものに半導体が活用されていることに加え、急速に進化する「クラウドサービス」に特化した半導体も登場するなど、その用途やニーズはさらに拡がり続けています。半導体は、実はとても身近な存在なのです。

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    Medical Products 医療現場を支えるCTスキャン、MRIなど

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    Industrial 生産ラインの自動化を支える産業用ロボット、各種制御装置や最先端の放送機器など

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    Networking IoT環境を実現するクラウド構築支援やデータセンター設備機器など

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    Infrastructure 快適・安全・安心な社会を支えるシステム監視・制御機器や空調省エネシステムなど

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    Consumer Products 健康で豊かな生活を支える家電、ヘルスケア機器など

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    Computer Applications ビジネスに不可欠なパソコンやプリンター、プロジェクターなど

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    Automotive IT化、エレクトロニクス化が進む自動車関連製品・機器など

半導体商社って、どんなところ?

半導体の研究開発や製造は、多くの場合「半導体メーカー」が行います。「半導体メーカー」には「半導体や半導体製造装置の研究開発や設計を行う会社」「評価検証を行う会社」「生産プロセスの検証を行う会社」など、多種多様な事業スタイルがあります。中には「研究開発だけを行う会社」「設計だけを行う会社」「製造だけを行う会社」などもありますので、技術系の企業に限ってもかなりの数に上ります。

そんな半導体メーカーとお客様を結び、販売や流通、マーケティングなどを担っているのが「半導体商社」です。その役割は、半導体を仕入れてお客様に納品するだけではありません。お客様に代わり、国内外の半導体メーカーの日々進化する技術や製品の最新情報や市場動向の調査、仕入れの交渉、物流、品質管理など、その役割は多岐にわたります。近年は、半導体の種類もますます増えていますので、半導体商社が持つ専門的な知識や、豊富な経験に寄せられる期待はさらに高まっています。部品を仕入れる役割から、最適な製品の提案や開発サポートまで行う技術パートナーへと、半導体商社のあり方も大きく変わっているのです。

半導体業界は、近年大手メーカー同士の合併など、業界再編の動きが加速しています。また、これまで業界を牽引し続けてきたIT分野だけではなく、今後は自動車や医療、産業インフラ、さらには宇宙航空産業の成長に伴う需要拡大が見込まれます。

成長を続ける半導体業界ですが、今、とくに注目されているのが、「IoT」「クラウド」「仮想化技術」「AI」などの新たな技術です。

IoT、クラウド、AI…。新たな技術が拓く未来とは?

最近、メディアなどでも取り上げられることの多い「IoT」「クラウド」「仮想化技術」そして「AI」という単語。半導体業界のこれら注目ワードをそれぞれ解説します。

IoT

IoTとは「Internet of Things(モノのインターネット)」の略。かつてはインターネットに接続するデバイスといえばPCでしたが、今やスマートフォンなどの新たな情報デバイスはもちろん、インターネットに接続できるテレビやデジタルオーディオプレイヤーなどが登場したのはご存知の通りです。さらに、冷蔵庫・洗濯機といった家電製品や、ドア・街灯・自動車など、街中のあらゆるものがインターネットでつながる時代。IoTが注目される背景には、新たな技術によって、従来のビジネスやサービスにもイノベーションが起こるという期待があるのです。机や壁がディスプレイとなり、遠くの人と話しながら食事をしたり、VR(仮想現実)と組み合わせて、自宅に居ながらリアルタイムのパリの街を散策できるなど、まるでSFのような生活を実現できるサービスも登場するかもしれません。さらには人間の脳までもコンピュータに繋いで、他の人との意思疎通が脳波でできるようになる可能性まであるのです。

クラウド/仮想化技術

PCやスマートフォンなどのデバイスにアプリケーションをインストールするのではなく、インターネット上で機能やサービスを利用できるのが「クラウドサービス」です。アプリケーションを買い換える費用や手間がかからず、どこからでもアクセスできる手軽さから、利用者は年々増加し、新たなサービスも次々と登場しています。そのクラウドサービスの基盤となるのが「仮想化技術」です。これは、1台のコンピュータを、まるで複数台あるように機能させる技術のこと。「ストレージ仮想化」や「デスクトップ仮想化」などの種類がありますが、その中でも特に注目を集めているのが「サーバー仮想化」です。従来は1つのサーバーで動作できるOSはひとつというのが常識でしたが、この技術によりサーバー1台で複数のOSを稼働させることができるようになります。サーバーの台数を最小限に抑えることができるためコスト面のメリットも大きく、現代のITソリューションにおける花形技術のひとつとなっています。こうしたクラウドサービスや仮想化技術向けの新たな半導体デバイスの研究開発が進んでいることに加え、近年では半導体開発の環境を提供するクラウドサービスの活用も広がるなど、半導体業界にもすでに様々な影響が及んでいます。

AI(人工知能)

「コンピュータの能力が人間を超える」という「2045年問題」がリアリティーを持って多くの人に受け止められている背景には、近年のAI(人工知能)の急速な発展があります。人間と同じような知能(学習、類推、判断など)を持ったコンピュータシステムを意味するAIですが、かつては人の手で膨大なデータやルールを教える必要があり、考えをめぐらせることができる範囲も特定の分野に限られていました。しかし、コンピュータが膨大なデータの中から物事を分類する「機械学習(マシンラーニング)」や「深層学習(ディープラーニング)」などの新たな技術の登場によって、2010年代以降、その能力は飛躍的な進化を遂げています。また機械翻訳システムや、画像解析、インターネット広告などのアドテクノロジー分野ではAIの活用が広がっています。さらにIT大手企業などの参入で話題となった自動車の「自動運転技術」など、AIが私たちの生活を支える時代は、すぐそこまで近づいています。

半導体業界の今後は?

私たちの生活を大きく変えようとしている最新技術領域を見てきましたが、これらの発展は、半導体業界にどのような影響をもたらすのでしょうか。

クラウドサービスやIoTが進展する上での大きな課題は、これまでとは比較にならない膨大なデータを、どのように扱うかということです。安定的にクラウドサービスを提供するためには、データの管理や転送を円滑に行うシステム環境の整備や強化が欠かせません。また、IoTでインターネットにつながるモノの数は2020年までに500億個を超えるとの予想もあり、そこから生じる膨大なデータを処理し、安全に管理する必要性がますます高まります。

そんなデータ管理のカギを握っているのが、サーバーやストレージなどの機器の設置や運用を行う「データセンター」です。インターネット経由でアプリケーションなどを使用できるクラウドサービスが拡大すれば、会社や自宅に設置されるサーバーの数は減少する一方、それらに代わってデータ管理を行うデータセンターの役割はさらに大きくなるでしょう。また、IoTによるデータ量の増大は、データセンターに求められる機能や設備環境そのものにも大きな変化をもたらすでしょう。

こうしたデータセンターの変化に対応し、従来のハードディスクドライブ(HDD)よりも高速・大容量なデータの処理や管理に適したフラッシュメモリーを活用したソリッドステートドライブ(SSD)を搭載したオールフラッシュストレージへのシフトが進むなど、半導体業界にもすでに新たな動きが生じています。また、AIの分野でも、機械学習、画像処理といったそれぞれの技術に特化した、新たな半導体の研究・開発などが活発化しています。

新たな技術の登場とともに、そのニーズに適した半導体が登場する。そんなサイクルのもとで成長を続けてきた半導体業界にとって、IoTやクラウド、AIによって新たな市場が開拓されることは、大きなチャンスであり、新たな進化、そして新たな成長の波が押し寄せているのです。