中期経営計画
VISION2030が始動
代表取締役社長・CEO
徳重 敦之
2025年3月期業績概要
2025年3月期の振り返り
2025年3月期は、CN事業ではネットワーク、ストレージ、セキュリティ関連製品の販売が好調に推移しました。また、保守・監視サービスも需要が拡大したことから、前期比で増収増益となりました。一方、EC事業では顧客商権が拡大したものの、サプライチェーンにおける在庫調整の影響が長期化したことから、前期比で減収減益となりました。
当社グループの2025年3月期の業績は、売上高216,379百万円(前期比10.9%減)、営業利益12,457百万円(前期比19.3%減)、経常利益11,415百万円(前期比18.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益8,874百万円(前期比11.1%減)となりました。
中期経営計画VISION2025の振り返り(2022年3月期〜2025年3月期)
中期経営計画VISION2025では、売上高2,000億円±10%、経常利益率5%、ROE15%を目標に掲げていました。取り組みの結果、2025年3月期まで3年連続で売上高、経常利益率、ROEの数値目標を達成することができました。なお、2024年3月期は売上高、経常利益ともに過去最高となりました。経常利益率の水準が5%台となったことは、利益成長に向けた取り組みの成果であると考えています。
各事業における利益成長に向けた取り組みには一定の成果がありました。しかし、「技術商社機能を持つメーカーへ」というVISIONについては、必ずしも具現化・達成できたとは言えず、より一層の注力とメーカー化への信念を持った取り組みの継続が必要であると考えています。今期から開始した中期経営計画VISION2030では、更なる企業価値の向上を目指してまいります。
中期経営計画 VISION2030(2026年3月期〜2030年3月期)
MISSION
半導体やITを中心とする最先端テクノロジーを通して 社会課題に向き合い
期待を超える価値を持つ解決策を提供することで 社会の持続的発展に貢献する
当社グループは、技術商社として培った視座で、継続的に生まれてくる社会課題と向き合い続けます。そして社会(顧客)の期待を超える価値を持つ解決策を提供することで、最先端テクノロジーの社会実装を推進し「超スマート社会」の実現に貢献してまいります。
VISION
メーカーと技術商社の力で潜在的な社会課題を解決する会社
現行の中期経営計画VISION2025においては、「技術商社機能を持つメーカーへ」というVISIONに基づき、課題解決を実現するメーカーとしての力の強化に注力してきました。今後、2030年までには、AIの進展に代表されるような、あらゆる市場を巻き込む課題が数多く発生することが予想され、これまで以上に「メーカー機能」と「技術商社機能」の両面をフル活用することが求められます。新中期経営計画VISION2030では、当社グループがそれらの課題解決を「メーカー機能」と「技術商社機能」の両面から追求していくことを改めて広くステークホルダーの皆様にご認識いただくために、VISIONを「メーカーと技術商社の力で潜在的な社会課題を解決する会社」にアップデートしました。なお、メーカー機能の強化により持続的な収益性向上を実現するという強い決意に変わりはありません。
全社方針
「メーカー」と「 技術商社」の力により潜在的な社会課題(顧客課題)の解決を図る
- 全てのビジネスユニットが、自社製品(サービス)開発にも取り組みグループシナジーを創出することにより、期待を超える価値を持つ課題解決策を提案する
- 潜在的課題に対するマーケティング強化のため、技術商社部門は新規代理店権と顧客商権の獲得を推進する
- 課題解決を可能とする事業基盤の早期確立に向け、積極的にM&Aを活用する
持続的な利益成長に資する行動を推進する
- 差別化できる自社製品(サービス)開発に向けた積極的な投資を行う
- フロー型からストック型サービスビジネスへの移行を推進する
- 中長期利益の拡大に向けた投資(研究開発、人材採用、社員教育等)を行う
財務モデル(2030年3月期)
「増益増収」(増益率>増収率)による持続的な利益成長を目指す
| 売上高 |
3,000~3,500 億円 |
| 経常利益率 |
8% 以上 |
| ROE(株主資本利益率) |
20% 以上 |
事業別目標
| 売上高構成比 | 経常利益率 |
| CN事業 |
15% |
12% |
| EC事業 |
75% |
7% |
| PB事業 |
10% |
10% |
資本政策
持続的な利益成長による企業価値の更なる向上を目指すため、資本政策においては、成長投資、株主還元、財務健全性の3つを重要事項と考えています。
2026年3月期の見通し
2026年3月期の事業環境は、CN事業はIT市場の堅調な推移を見込んでいます。EC事業・PB事業は、上期も市場の調整が継続し、下期から回復基調へ転換すると想定しています。
下図の事業計画前提をもとに、2026年3月期は、売上高2,000億円(前期比7.6%減)、経常利益100億円(前期比12.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益70億円(前期比21.1%減)を計画しています。なお、米国の関税措置については、現段階では事業計画に組み入れていませんが、引き続き動向を注視してまいります。
コーポレートガバナンス強化
当社は、新たにコーポレートオフィサー制度を導入するとともに、グループ経営執行における最高責任者の明確化を目的としてCEO(最高経営責任者)を新設しました。コーポレートオフィサーは、当社グループの執行側の最高位の職位として全社的な視座を持ち、経営執行に責任を持ちます。加えて取締役会に出席して議案説明や質疑に対応することで、取締役会の監督機能の一層の強化を図ります。また、コーポレートオフィサーは、新たに設けた執行側の最高意思決定機関である「コーポレートオフィサー会議」のメンバーとして、迅速な意思決定と機動的な業務執行を担います。
ステークホルダーの皆様へ
当社は、持続可能な社会の実現と企業価値向上への取り組みを加速させています。サステナビリティの観点では、事業を通じて提供する多様なソリューションにより、豊かな暮らしと持続的な社会の発展に貢献することを目指しています。特に人的資本・多様性においては、グローバルな視点で顧客満足を追求できる人材の育成に注力し、社員一人ひとりの能力を最大限に引き出す環境整備を進めています。気候変動への対応では、2050年度のカーボンニュートラル達成を目標に掲げ、2030年度までに温室効果ガス排出量を、2021年度比で50%削減するべく活動しています。
コーポレート・ガバナンスの強化にも継続的に取り組んでいます。当社では、監査役会設置会社としての機関設計に加え、指名委員会及び報酬委員会を設置し、経営の客観性と透明性を高めています。2025年3月期に実施した取締役会の実効性評価では、コーポレートオフィサー制度の導入等により、ガバナンス体制の改善が確認されました。引き続き、ESGや人的資本に関する議論を深め、取締役会の機能強化に注力します。
今後も、当社が事業を展開する様々な分野における社会課題の解決に向けて、社員一人ひとりが挑戦できる環境を整え、未来に向けた価値創造を加速させていきます。ステークホルダーの皆様におかれましては、今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。