投資家の皆様へ

トップメッセージ

決意を持って
変革に挑戦し
利益成長を
加速させます

代表取締役社長・CEO
徳重 敦之

2024年3月期の振り返り

2024年3月期は、EC事業では顧客商権が拡大したものの、中国市場の停滞や一部の半導体メーカーによる直販化の影響により前期比で減収となりました。一方、CN事業ではセキュリティ関連製品やサブスクリプション型ライセンス及びサービス販売が好調に推移したことから増益となりました。当社グループの2024年3月期の業績は、売上高242,888百万円(前期比1.1%増)、営業利益15,428百万円(前期比8.4%増)、経常利益13,922百万円(前期比11.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9,986百万円(前期比13.8%増)となり、売上高、利益ともに過去最高となりました。

中期経営計画VISION2025においては、目標数値(売上高2,000億円±10%、経常利益率5.0%超、ROE15.0%超)を2023年3月期から2期連続でクリアし、経常利益率とROEについては2023年4月に公表した2025年3月期の見通し(売上高2,500億円、経常利益率5.5%、ROE20.0%)も1年前倒しで達成しました。

なお、2023年10月に事業譲受した日本エレクトロセンサリデバイス株式会社のウェーハ検査装置事業も業績へ寄与しており、業績等は半導体及び電子デバイス事業に含めています。

2025年3月期の見通し

2025年3月期の事業環境は、CN事業においては、セキュリティを中心にIT市場が堅調に推移すると見込んでいます。EC事業・PB事業においては、市場の調整が継続し、上期が底入期、下期に回復基調に転換すると見込んでいます。主な背景としては、2024年3月期下期から調整期となり、サプライチェーンにおける在庫の消費に時間を要していることが挙げられます。特に中国市況停滞の長期化が、当社顧客の中心である産業機器分野に広く影響しています。また、一部の半導体メーカーによる直販化等に起因する売上高減少の影響が上期に最も大きく表れる一方で、新規顧客商権の業績への寄与が下期から本格化することが期待されます。

以上の事業計画前提に基づき、2025年3月期は売上高2,300億円(前期比5.3%減)、経常利益127億円(前期比8.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益87億円(前期比12.9%減)を計画しています。2024年3月期の実績を下回るものの、2023年3月期から3期連続でVISION2025の目標数値を上回る見込みです。今後も引き続き、中長期的な成長を見据えて、利益成長に向けた取り組みを推進してまいります。

新中期経営計画VISION2030

現行の中期経営計画VISION2025は、財務指標に関しては2期連続で達成した一方、VISIONとして掲げた「技術商社機能を持つメーカーへ」という点については、計画期間において必ずしも具現化・達成できたとは言えず、より一層の注力と「メーカー化」への信念を持った取り組みの継続が必要であると考えています。そこで今般、更なる企業価値の向上を目指して当社グループが躍進し続けていくことを念頭に置き、新中期経営計画VISION2030を策定しました。

新中期経営計画 VISION2030(2026年3月期〜2030年3月期)

MISSION

半導体やITを中心とする最先端テクノロジーを通して 社会課題に向き合い
期待を超える価値を持つ解決策を提供することで 社会の持続的発展に貢献する

当社グループは、技術商社として培った視座で、継続的に生まれてくる社会課題と向き合い続けます。そして社会(顧客)の期待を超える価値を持つ解決策を提供することで、最先端テクノロジーの社会実装を推進し「超スマート社会」の実現に貢献してまいります。

VISION

メーカーと技術商社の力で潜在的な社会課題を解決する会社

現行の中期経営計画VISION2025においては、「技術商社機能を持つメーカーへ」というVISIONに基づき、課題解決を実現するメーカーとしての力の強化に注力してきました。今後、2030年までには、AIの進展に代表されるような、あらゆる市場を巻き込む課題が数多く発生することが予想され、これまで以上に「メーカー機能」と「技術商社機能」の両面をフル活用することが求められます。新中期経営計画VISION2030では、当社グループがそれらの課題解決を「メーカー機能」と「技術商社機能」の両面から追求していくことを改めて広くステークホルダーの皆様にご認識いただくために、VISIONを「メーカーと技術商社の力で潜在的な社会課題を解決する会社」にアップデートしました。なお、メーカー機能の強化により持続的な収益性向上を実現するという強い決意に変わりはありません。

全社方針

「メーカー」と「 技術商社」の力により潜在的な社会課題(顧客課題)の解決を図る

  • 全てのビジネスユニットが、自社製品(サービス)開発にも取り組みグループシナジーを創出することにより、期待を超える価値を持つ課題解決策を提案する
  • 潜在的課題に対するマーケティング強化のため、技術商社部門は新規代理店権と顧客商権の獲得を推進する
  • 課題解決を可能とする事業基盤の早期確立に向け、積極的にM&Aを活用する

持続的な利益成長に資する行動を推進する

  • 差別化できる自社製品(サービス)開発に向けた積極的な投資を行う
  • フロー型からストック型サービスビジネスへの移行を推進する
  • 中長期利益の拡大に向けた投資(研究開発、人材採用、社員教育等)を行う
事業別運営方針財務モデル
  • CN事業

    • 顧客のニーズを理解し、DXを支えるソリューションとサービスを提供
    • 顧客のデジタル技術活用を支援し、顧客満足度を向上
  • EC事業

    • 産業機器、車載関連機器、クラウドサービス、OTセキュリティ※1分野などの成長マーケットに注力
    • 半導体の専門知識を生かし、ソリューション型ビジネスを展開
  • PB事業

    • 計測・検査技術を核に、ウェーハ検査装置を中心とした製品をグローバルに提供
    • 半導体関連技術と高品質な開発・製造基盤を生かし、医療ODM※2及び基板OEM※3のサービスを強化

※1 工場や産業施設などで使用される運用技術(Operational Technology)のセキュリティ
※2 Original Design Manufacturing:製品の設計から製造までを一手に担うサービス
※3 Original Equipment Manufacturing:ODM に対して生産のみを委託・受託するサービス

財務モデル(2030年3月期)

「増益増収」(増益率>増収率)による持続的な利益成長を目指す

売上高 3,000~3,500 億円
経常利益率 8% 以上
ROE(株主資本利益率) 20% 以上

資本政策

持続的な利益成長による企業価値の更なる向上を目指すため、資本政策においては、成長投資、株主還元、財務健全性の3つを重要事項と考えています。

サステナビリティ

当社では、事業を通じて提供する様々なソリューションによって豊かな暮らしと持続的な社会の発展へ貢献していくこと、また、マテリアリティ(重要課題)の解決に取り組むことで、当社グループの持続的な発展・企業価値の向上を目指しています。特に人的資本・多様性の観点では、グローバルな視点で顧客満足を追求できる人材を育成し、社員の意欲向上を支援していくために個々の能力を伸ばす環境を整備することに加え、次世代リーダーの育成に注力していきます。また、気候変動に対しては2050年度におけるカーボンニュートラルを目指すべく、2030年度の目標を設定(2021年度対比50%削減)しており、この取り組みの一環として、2023年10月よりエンジニアリングセンター(横浜市都筑区)では実質再生可能エネルギー由来の電力への切り替えを実施しています。

コーポレートガバナンス強化

当社は、新たにコーポレートオフィサー制度を導入するとともに、グループ経営執行における最高責任者の明確化を目的としてCEO(最高経営責任者)を新設しました。コーポレートオフィサーは、当社グループの執行側の最高位の職位として全社的な視座を持ち、経営執行に責任を持ちます。加えて取締役会に出席して議案説明や質疑に対応することで、取締役会の監督機能の一層の強化を図ります。また、コーポレートオフィサーは、新たに設けた執行側の最高意思決定機関である「コーポレートオフィサー会議」のメンバーとして、迅速な意思決定と機動的な業務執行を担います。

ステークホルダーの皆様へのメッセージ

2025年3月期が最終年度となる中期経営計画VISION2025は、財務指標を上回り、2024年3月期には経常利益率・ROEの最終年度の見通し達成するなど、順調に進捗してきました。2025年3月期は調整局面となるものの、中長期的には、DXやEV、AIへの需要の高まりを背景とした半導体市場や、セキュリティ市場、IT市場などの成長を見込んでいます。引き続き、柔軟なソリューションの開発や顧客ニーズへの迅速な対応が不可欠であると考えており、今後も将来の利益成長につながる取り組みをより一層強化し、継続的な企業価値の向上を図ってまいります。

ステークホルダーの皆様におかれましては、今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2024年7月